PC-Blues #20 ADSLというのを使ってみた。

  ブロードバンドばやりである。ADSLとか光ファイバーとかケーブルテレビとかで常時接続だそうである。常時接続に伴うもろもろの危険については『ウィルス伝染るんです』をはじめ、あちこちで大量の警告が出されているので少々ビビっていた。だが、値下げ競争が進行して月額3000円を切るようになった。これではダイアルアップ+テレホーダイより安い。遅蒔きながらぼちぼち参加することにした。

  あっちこっち比較する根気がないので、寄らば大樹の蔭というし値下げのし過ぎでADSLそのもので利益があがらなくても倒産しなさそうなところがよい。でもホントの殿様商売する会社もイヤかなという、ひたすらゲスなかんぐりで日本テレコムのJDSLというやつを選んだ。 月額2880円+回線使用料187円+モデムレンタル料500円の計3567円/月、初期費用6000円である。

  しかし、ADSLというのはインピーダンス・マッチングもシールドも何も考えていない電話線に1MHzを越える高周波をブチこむという乱暴な技術である。何が起こるかは実際やってみるまでわからないバクチのようなものらしい。通信速度は例のJDSLでは理論限界で1.5Mbps、別に8Mbpsというのもある。その何%が現実の速度になるかはどれだけのノイズを基地局に到達するまでに拾うか、どれくらい信号が減衰するかによってバラバラだという。接続するタイミング次第ではきわめて低速でしかリンクしないこともあり、モデムを再起動するだけで高速にリンクする場合もあり、これも外来ノイズ次第である。途中に動力を使うような工場とかノイズを垂れ流すようなオフィスが少なく、基地局までの距離も近く、途中でADSLをやってノイズをばらまくような家庭も少なければかなりのスピードが出るらしい。だけれども最もノイズをバラまくのはADSLそのものだったりするからあたまがイタい。その場合、現在高速でリンクしても将来ADSLを導入する家庭が増えたとたんレスポンスが悪化することになる。

  当然電話そのものにもノイズをバラまいて誤動作を促すわけだが、これはスプリッタというフィルターで減衰させる。家に複数の電話がある場合は全ての電話をスプリッタの後におかなければならない。屋内に複数の電話を配線していればそれら全てをスプリッタの後に置かねばならない。そうなるとやっぱし、電話線の屋内引き込み口にとりつけるんだろうか、これは結構ジャマくさい工事になるだろう。いやいや工事作業そのものがでなく法規上の手続きがね。なんせコンセントより向こうはNTTのモチモンだからね。

  ところでスプリッタで減衰させたとてそこはそれ高周波だから、どこをどう回り込んでどういう障害をひきおこすかは実践してみるまでわからない。

  申し込みから開通までは3週間を要した。以下のようである。


平成13年10月13日(土) 申込書を封書で投函。
平成13年10月22日(月)日本テレコムより受付けた旨の10月19日付けの封書受取。
申し込みの進捗状況はWebにて閲覧可能とのこと。
閲覧してみるとNTTへ提供可能かどうか問い合わせ中とのこと。
平成13年10月25日(木)website上で提供可能、もう少し待つべき旨の表示あり。
平成13年10月29日(月)日本テレコムより11月2日に工事を行う旨の封書到着。
平成13年10月31日(水)日本テレコムよりADSLモデム到着。
平成13年11月5日(月)日本テレコムより11月3日(おととい)からサービス開始である旨の通知及びID、パスワードなどの通知あり。


  最後のやつは日本テレコムとしては11月3日にサービス開始通知がつくよう手配したのだろうが札幌の辺境にある当家にはそうカッコよくはいかなかったようである。

  レンタルしたモデムはルータタイプというやつでこれ自体がホストになってて自動で接続・切断をする。これをバカハブにつないで各マシンからはこいつをゲートウェイに指定すれば以上おしまいである。ドライバも何もあったものではない。設定はhttp経由でCGIをつかってやる。ただしハブにつなぐにはクロスケーブルを使う。

  速度については最初から期待はしてなかったが、モデムによればいつつないでも下り1536kbs登り512kbpsという。ほんとうかと思ってftpで適当なファイルをゲットしてやると平均して140KB/sである。プットの方は35KB/sといったところである。1Byte=8bitとして計算してやると140*1024*8/1500000=0.76で理論限界の76%ほどである。ヘッダ部分などもあろうからここらへんが限界ちかいだろう。たぶん。

  さて体感速度のほうである。はっきりいって速いわこれは。もはや絵の出るブラウザですらこれを恐るるに足りずといったところである。といって28.8kのモデムでもべつに困っていたわけではなく、つまりストリーミングとか重たい機能は最初からつかっていないのでその実力を評価できる立場にない。

  今回は日頃のオコナイが良かったのか、たまたま好結果が出たけれどバクチ要素の大きい無茶な技術であることにかわりはない。しょうがないのでオシロをひっぱり出して適当なコードで電波を検出してやると、ああスゴイスゴイ電波が見える見える、飛んでるよおー。750kHzあたりの電波がモデムあたりからバシバシに出まくっている。実に汚い波形である。

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2001/11/07