はげましのお声、ないしは罵詈雑言ノーマル版
405
おなまえ
micmic
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メッセージ
わたしは歴史の専門家ではありません。「あら、ビックリ」については引用元は明記してあります。すべて一般書主に講談社現代新書、中央公論社『世界の歴史』、講談社『日本の歴史』といったところです。しかし、これら90年代以降の一般用歴史書はぼくらの高校時代の教科書や受験参考書とはまるでちがいます。
なおわたしの専攻は哲学科の宗教学ですが、この場合、あんまり関係ないす。
日付Sat Nov 23 11:49:30 2002
404
おなまえ
micmic
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メッセージ
なんでローマは滅びたか、ということなら講談社現代新書『なぜ、ローマは滅びたか』をお勧めします。弓削先生の著作は一読の価値ありです。なぜモンゴルはということなら、同『モンゴル帝国興亡史』を。オスマンならば、世界の歴史20『近代イスラムの挑戦』を恐竜帝国ならばブルーバックス『恐竜はなぜ絶滅したか』を…微惑星衝突おそるべし。
個々の大帝国の滅亡には個々の事情があり、それを十把ひとからげに「歴史的必然」などの抽象物に帰するべきではない、と考えます。上記3つともみごとに全然違います。もちろん存続期間も。
さしあたり300万年しか生存せず、もはや一種しか残っていない人類が現存しているというだけの理由でかつて、3億年生存し、無数ともいえる種をほこった恐竜の構造的欠陥をあげつらうことが笑止千万であるように、現在の欧米の繁栄をそれ以前のすべての文明を凌駕すると考えることも笑止であります。
おすすめの本はときかれれば、S.J.グールド『ワンダフル・ライフ』『フルハウス』その他一連の著作です。おれ、ファンなのよ。
日付Sat Nov 23 11:32:01 2002
403
おなまえ
micmic
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メッセージ
第一に現在の欧米型の文明の優勢は500年ではなく100年たらず、長くみてもせいぜい200年であるということ、この長さはオスマンなり、中華文明に比較して決っして長くはないということ。繁栄した国家もやがては凋落する諸行無常のうたかたの泡にすぎない…かもね。さしあたりヨーロッパは学術的にはまだまだ先進かもしれないけれども生産力の点からはそろそろ退潮であり、当のヨーロッパ自体もスーパーパワーであることを欲してないようにみえる。
NGOとかいった枠組での社会活動は、まさにヨーロッパシステムでの枠組だから、それでヨーロッパが先行しているというのは同語反復にちかい。イスラムにはワクフという枠組があり、これは1000年来機能しつづけている。あんまり報道はされないけれども。日本にもこのての組織はもとからあり、近年のNPO、NGOは資本主義のせいで滅びた枠組が資本主義のなかで改組復活したもののようにみえる。
例えば、江戸時代以前の民間で料金もとらず、橋をかけ、道をつなぎ、災害救助をし、飢饉への救助をし、孤児の面倒をみた枠組は社会活動とはいえないかしら。
日付Sat Nov 23 11:12:39 2002
402
おなまえ
たぢ
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メッセージ
こんばんわ。こっちに来てみました。「あらびっくり」の欄面白いですね。
以下私の考えを。
390>宗教の力が強すぎて、また人格が集団に属していたという意味で暗黒時代。
393>その通りでしょう。
394>1段落目:よくわかりません。2段落目:たまたまそうであったと考えます。
3段落目:前半僕も賛成。後半:多様性を受け入れる社会。集団におもねない個人。
396>なんでそういう一時的に強力だった国家があとに圧倒されるようになったかをここで僕は問題にしています。
397>主旨がよくわかりません。
398>最後の一文は一部同感です。
399>前半:なんで後進国だったのが先進国になれたのかが問題でして。
後半:神との対峙により人格が生まれたと考えます。
400>まあそうですけど、時間時間を区切った時での意義を考えているのでして。
401>内輪でジメジメしてそうで、僕はあんま好きではないです。
ところでmicmicさんの広範な歴史知識はどこで学ばれたのでしょう?
歴史専攻ですか?歴史関係でもなんでも面白い本があったら教えてください。
日付Sat Nov 23 00:56:06 2002
401
おなまえ
micmic
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メッセージ
でも辺境の島でひっそり平和に暮らすというのも素晴しい文化ではある。
話せば長くなりました。390番からここまでひとつの話です。
日付Fri Nov 22 17:25:23 2002
400
おなまえ
micmic
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メッセージ
現在は歴史というゲームの途中経過、最終決算ではない。いま強力だからといって2000年まえから優越していたわけではない。いま、劣勢だからといって2000年ずっとダメ文化の持ち主ってわけでもない。とまあ、そういうこってす。
日付Fri Nov 22 17:21:52 2002
399
おなまえ
micmic
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メッセージ
結局のところ欧米が先進国と呼べるようになったのは贔屓目に見ても18世紀中葉以降、清朝やオスマン、ムガルにたいする軍事的優位でいえば、19世紀中葉アロー号戦争、露土戦争、セポイの乱以降、植民地争奪帝国主義という観点からは19世紀末といったところです。
その原動力は疑いをいれず産業革命でしょう。もちろんそれを可能にした市民社会の容赦なさ、競争の苛烈さがあります。その点では市民革命に原因を見てもよい、しかし、それをローマだ、キリスト教だ、ゲルマンだ、につなげるのはあまりに迂遠というものです。
日付Fri Nov 22 17:12:19 2002
398
おなまえ
micmic
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メッセージ
趣味の問題からいうとヨーロッパ的市民社会はケチくさくてキライ。やりたい放題やっつけて自己責任とかいって放りだすやつら。アメリカ的社会は絶えざるストレスが心の傷というやつを貧乏人から金持ちにまで負わせ、いちいち心理カウンセラーを必要としてしまう気の休まらない社会のようにみえるのでキライ。こんなおよそ真似したくない連中に段々似てきている日本社会は不安です。
日付Fri Nov 22 10:38:41 2002
397
おなまえ
micmic
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メッセージ
さて、個が神の前にひとりたつ個という意味であれば、それはイスラムやロシア正教がおとくいですが、これは信仰共同体としてのウンマなり、ミールなりが共同性を補償してのはなしです。相互扶助、弱者救済のシステムはどこでも基本ですね。こうした信仰共同体はもちろんプロテスタントやカトリックにもあって地縁で結ばれた前近代人には不可欠なものです。ただし、人種によらず、民族にもよらず、排除ということをせず世界的ネットワークと交流をもつイスラムのウンマは一種独特といえるでしょう。
資本主義の精神となったプロテスタンティズムについてはキリスト教の極北、歴史的には異端のそのまた異端というかんじです。およそギリシャ・ローマの伝統というものがかりにあるとして最も遠いものだといえます。ただ、仏陀の思想とはかけ離れた大乗仏教が甚だ大きな仏教勢力として現存している以上、そういうのもありだ、とはいえます。
この個が共同体から切離された資本主義的、個という意味であれば、それは資本の論理というものに淵源を求めるべきであって、ギリシャローマは関係がない。あれはどっちかというと共同体志向。「人はポリス的動物」でしょ?
日付Fri Nov 22 10:34:16 2002
396
おなまえ
micmic
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メッセージ
オスマンの主要な武装は鉄砲歩兵であり、ビサンティン帝国の秘密兵器は投擲爆弾であります。これをオスマンから輸入したポルトガルはちょっとした事件から早々に日本に伝えることになりますが、たちまち日本は世界一の鉄砲生産国かつ使用国になったのは有名なところです。さて当のヨーロッパで鉄砲が武器として活用されるのは1580年からのオランダ独立戦争でのオラニエ公ウィレムであり、部隊としての大規模な使用は1618年〜1648年の30年戦争でのグスタフ・アドルフだといわれていますが年号を見てみれば、彼我の技術力の違いがわかると思います。大友・根来・本願寺といった鉄砲部隊は1560年代には武装済みですね。やや遅れた織田・武田でさえ1570年代には大規模な鉄砲部隊を完成しています。
日付Fri Nov 22 10:18:50 2002
395
おなまえ
micmic
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メッセージ
ルネサンスにおいて、ビザンティン帝国やイスラム諸国からヨーロッパはギリシアやローマ時代の文化を学習したけれど、それは、ビザンツなりイスラムが先進地域だったのでその人文・社会・自然科学技術を学んだに過ぎない。それゆえ、全然ギリシアでもローマでもないアラビア数字や代数学、化学なども輸入しているわけです。
それは、遣唐使を出して、中国の文化を輸入したり、渡来人を経由して朝鮮の先進文化を学習する古代日本とその意味では完全にパラレルです。実際、水田耕作という技術、漢字ないし文字という技術、それを木簡なり紙に墨で書くという技術、青銅、鉄という技術、儒教、仏教、道教、という思想。これらが日本に及ぼした影響をルネサンスの輸入物のほんの一部よりも小さいとする根拠はわたしにはわかりません。
それにルネサンスの文学はローマやギリシャの文物の影響はあるのだろうけれど、実際それとは、似てない。どちらかというと中世に教会権威が否定した中世の世俗の生活やゲルマンの神々がでてくる。デカメロンにせよ、痴愚神礼賛にせよ。
ルネサンス三大発明といわれる鉄砲、活版印刷、羅針盤、これら全て輸入元のイスラムでは実用化済みでした。それを「発明」という神経は人の住んでいる土地に船を出しておいて新大陸の「発見」をしてしまうと同じ、自国中心主義というやつです。
日付Fri Nov 22 10:06:38 2002
394
おなまえ
とだおっとせい
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それでよいとすると、「人格の独立」とは近代以前の封建的桎梏を破壊して土地や生産力を資本主義的に再編するブルジョワジーに必須の資質であり、かつ従来の封建的拘束から個々の民衆を離脱させて賃労働者に再編する時の便利な方便に他ならないと思われます。
他地域に先駆けて資本主義社会に移行した欧米が「人格の独立」なる方便において一歩先んじたのはその意味で当然であり、後進資本主義国である日本やドイツは同様の「人格の独立」を掲げたところで追いつけるわけもなく、家父長的原理で一丸となって猛追をかけた結果が先の大戦ということなのでしょうか。
「人格の独立」という言葉が、生き方の多様性を保障するという意味で用いられるのであれば僕も諸手を挙げて賛成します。が、それは多様に生きようとする一人一人の、そしてその連帯の中で戦い取られるものであって、欧米社会から一体何を学べばよいのか(個々の欧米人から学ぶものはきっとあると思うけど)、と思ったりしております。
日付Fri Nov 22 01:01:27 2002
393
おなまえ
とだおっとせい
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「人格の独立」ってのがやっぱりよく分かりません。
「独立」ってのは「〜からの独立」という言い方をして初めて成り立つものだと思うのだけれど、近代においては共同体(所属する身分や職能団体)からの独立という形を取るのが一般的と考えてもいいのでしょうか。
日付Fri Nov 22 00:48:17 2002
392
おなまえ
micmic
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メッセージ
クリスチャンのメインストリームの一つはロシア正教会および、ブルガリアそのたの正教会としていまだ宗教的、象徴的、権威をおもちです。もうひとつのメインストリームはイスラームと呼ばれ、まさに世界を覆うネットワークになっているではありませんか。
日付Fri Nov 22 00:33:31 2002
391
おなまえ
micmic
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メッセージ
大帝国が二つに分解し、その一方には政治的首都があり、アレクサンドリアやニカイアのような文化的中枢があり、豊かなるエジプトや蜜の流れる土地シリアがあって以前からの主要な穀倉地帯があり、キプロスやアナトリアといった鉱物資源の主要な産地があり、軍事力もあり、かつ千年つづいた部分と旧都のほかこれといった都市とてなく100年つづかなかった一方があったとき、後者を中心として前者を形式的と呼ぶ理由はぼくら日本人にはありません。
ただしヨーロッパ人にはあって、それが自分たちの土地であるからという理由が。これこそ例の進化の頂点に人間を位置付け、そのまた頂点に白人の男性を位置付けようとした骨相学と同じ自国中心主義というやつです。正確には自「国」ではなくて。
日付Fri Nov 22 00:30:05 2002