ayya #7 バッチい一円玉

  もう10年にもなるか抗菌グッズというのがある。で、その手法として銀粉や銅粉をまぜるというのがある。どういうわけか銀や銅には殺菌効果があって、銀の食器は毒を消し、銅の甕にいれた水は腐らず、銀の弾丸は狼人間を殺傷することになっている。というわけで、抗菌食器というのはかれこれ数百年以上使われてきたわけだ。

  ところで硬貨というものはいろんな人が鷲掴みにするわけで、それゆえ不衛生なものということになっている。少くとも私はお母ちゃんにそういわれて育った。であるから、やたらお金を集める人間はキタナい人間であるという結論が導かれていた。しかし、5円玉は真鍮で10円玉は青銅である。どちらも銅製品でそれゆえ抗菌グッズである。

  ブルーバックス『金属なんでも小事典』の孫引きだが、


10円(青銅)、5円(黄銅)、1円(アルミニウム)を、チフス菌を培養した寒天培地に入れて検査してみると、10円と5円についてはほぼ菌が死滅するという実験データ(東京都立衛生研究所)もある。


  というわけで、一円玉はバッチくとも、5円10円玉は清潔なのだった。独裁者におくる刺客を決定する際にケーキに埋めこむ硬貨は5円玉もしくは10円玉にするのがよいことになる。ここで敬意を表して500円玉など使うと、刺客は仕事をするまえに腹痛に苦しむおそれがある。

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