radio-boy #3 窪田式アンプVS BlackGate

  大学生になり、バイト道に励むようになると金に余裕が出来て来る。高校時代から、浪費享楽派ではあったが、何分きまった収入源がないので、たかがしれている。はやりはじめたフィーバーのハイエナ攻略とか、いつも出ることにきまっている羽根物の台(平和のviking,boxing,football。正確には権利物)を、朝から並んでとるとか、新装開店に6時間前からならぶとか、パチンコに関しては、まじめにデータを採りさえすれば割と簡単に、平均日当8000円くらいはとれる時代であった。といって、毎日通うわけにもいかぬ。ほかにもファーストフードでバイトすると云う手もあるにはあるが、学校にバレ易く、危険な割に給金が安かったので敬遠せざるを得なかった。しかし、大学生ともなれば、大っぴらにバイトが出来る。引越し、地質調査、お祭り行列、測量助手とバイトの口は、選りどり見どりである。

  それはさておき、金に余裕ができるとかねてからの念願の金田、安井、窪田といったMJお馴染みの諸先生のアンプを作ってみたくなるのが人情である。とりあえず、このころ(1987)窪田先生のFETアンプ本が発売になり、早速デッドコピーしてみる事にした。改造が楽なように万能基板を使った。とりあえずはそのまましばらく楽しんだ。確かにそれ以前使っていたサンケンのICアンプやPioneerの普及価格アンプとは異次元の音がする。同価格帯のアンプには圧勝だった。やがて、当然のごとく、CerafineコンデンサをBGにとりかえてみる。当時ジェルマックス社はBGコンデンサ置き換えの無料相談をおこなっており、ここに手紙を送ってみると、「この設計者はコンデンサの事が良く解っていない、云々。」とあり、『窪田先生もエライ謂われようだなあ』と思いつつも見てみると、およそMJの常識とはかけ離れた定数が入っている。例えば、Power段のは22000u →4700u、1,2段の定電圧電源のあとは100u→2200u、終段のバイアス回路は、2200uでシャントすると云った具合である。これは、要するにBGというコンデンサを使うと云う前提でBGの性能を全面的に信頼した設計なのだとよく解った。ジェルマックスとしては当然である。

電源部の回路図
アンプ部の回路図

   で、私のシステムでの、私の判断は『BG効果あり』。である。うまく言い表せないが、何とは無しにすっきりした感じがする。ちなみに私の使うスピーカーは10cmフルレンジである。Technics EAS10F10、Coral 4A70 、Fostex FE103、127、Diatone P610DBなど、最後のは16cmだが。箱はトールボーイバスレフ、バックロード、プレーンバフル、などである。最後のは只の板1枚に穴を開けただけである。7.5畳とか10畳とかの狭い部屋でせいぜい2W程度の入力をいれるのに大きな口径がいるのかと云う疑問や、友人の処の38cmで生き生きした音を聞いた事が無いとか、PAで大口径を使うと大概寝惚けた音がしたとかいって正当化してはいるけれど、そっちへ進むと金がかかりすぎるのを恐れているだけの半導体大好き小僧なのは承知しても居る。

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